情報設計レビュー
情報設計レビューは、プロダクトの情報構造が妥当かどうかを検査するレビューです。プロダクトの情報構造を可視化した図(情報設計のアウトプット)を主に用いて、レビュアーが同期的にレビューを行ないます。
概要
目的
UIデザイン使用性チェックリストの#1-#5をチェックし、情報設計部分の品質を担保すること。
対象
- 新規開発アプリ
- 規模の大きいfeature開発
実施するタイミング
デザインの大枠が固まり、開発チームに共有できるようになったときに実施します。
用意するもの
担当デザイナー(後述)は、以下の資料を用意します。
- 情報設計のアウトプット
- 画面レイアウト(デザインファイルもしくは画面キャプチャ)
参加者
- 担当デザイナー
- レビュイー(レビューを受ける人)として参加し、デザインにおける意思決定の説明責任を負う。
- なお、プロダクトのデザインを主導した人物を指し、肩書として「デザイナー」を名乗る人物に限らない。
- プロダクトの開発チーム(任意参加)
- 担当デザイナーと同様にレビュイーとして参加し、担当デザイナーの説明を補佐する。
- ファシリテーター
- 会の進行、議論の整理・支援を行なう。
- レビュアー
- それ以外の参加者は、すべてレビュアーとして参加し、担当デザイナーの説明や資料に対しフィードバックを行なう。
進行
同期的な会として開催します。
- 担当デザイナーから、情報設計のアウトプットや画面レイアウトを見せながら、プロダクトの概要、制作物・意図などを説明する
- それを踏まえて、レビュアーからフィードバックを行ない、必要に応じて担当デザイナーと議論を交わす
- 最後に、プロダクトに対して評価をつける
評価
以下の4段階で評価をつける。
- 良好(問題なし)
- 軽微な課題あり(指摘はあるが、品質は許容できる)
- 明確な課題あり(品質は許容できるが、改善が必要)
- 根本的な課題あり(再設計を推奨する)
なお、評価が「明確な課題あり」もしくは「根本的な課題あり」の場合、修正・再設計を経て再度レビューに持ち込まれることが期待される。
レビュアーからのフィードバック
プロダクトの情報構造に対するフィードバックが期待されます。「情報設計のアウトプットに違和感がないか」「画面と情報設計にズレがないか」を観点として持ってください。
余白やコンポーネント選定、スタイリングなどへの指摘は、情報設計レビューのフィードバックとしては期待されていません。これらはUIレビューで行なってください。
期待されるフィードバックの例として以下があります。
- ユーザーストーリーの解像度が不十分に見える。
- 概念モデルとオブジェクトモデルが一致していない。
- ビューの呼び出し関係とユーザーストーリーが一致していない。
- ナビゲーション設計が妥当でない。
- 情報設計のアウトプットと画面レイアウトが一致してない。
SmartHRでの運用
SmartHRでの具体的な運用について記載します。
- プロダクトデザイン本部のレビュー会のトピックの1つとして実施する。所要時間は1時間を想定。
- UI定例チームから適宜声かけ、もしくは担当デザイナー自身の希望をきっかけとして実施する。
準備
担当デザイナーは、事前に以下を準備します。
- プロダクトデザイン本部のレビュー会のトピックとして起票し、実施日を決める。
- 以下の2つの資料をFigJamファイルとして用意する。
- 情報設計のアウトプット
- 主要な画面レイアウトのキャプチャ
- ファシリテーターを指名し、可能であれば事前に資料を共有する。
- 実施するレビュー会に開発チームを招待する。
ファシリテーターは、事前に資料を確認し、プロダクトの概要を把握しておくことが推奨されます。
進行
1. 担当デザイナーによる説明(20分)
- 担当デザイナーが画面共有し、用意した資料を使いながら、プロダクトの概要や情報構造、画面レイアウト、意思決定の理由を口頭で説明する。
- この段階では議論は行なわない。レビュアーから疑問や質問がある場合、スレッドやFigJamの付箋に書いておく。
2. レビュアーによる資料の読み込み・付箋の記入(15分)
- 付箋の記入(レビュアー)
- 各自で資料のFigJamファイルを開き、資料を読み込む。
- 疑問、質問、感想、意見などを付箋機能に書き、資料の当該箇所の付近に置く。
- 簡易な質問への回答(担当デザイナー・開発チーム)
- レビュアーからのチャットや付箋での質問のうち、すぐに回答できるものは、この時間に回答しても良い。
- ディスカッションの準備(ファシリテーター)
- 書かれた付箋に目を通し、ディスカッションで優先的に取り上げる付箋にスタンプなどで目印をつける。
- 似た内容の付箋が複数ある場合、同じトピックとして取り上げられるよう、近くに移動させたり、線で繋いだりする。
3. ディスカッション(20分)
- 環境準備
- 担当デザイナーは画面共有を継続し、ファシリテーターのカーソル追従モードにする。
- ディスカッション
- ファシリテーターは付箋をもとにトピックを1つ取り上げ、付箋を書いた人物と担当デザイナー・開発チームとの議論を促す。
- 議論の結果、双方の納得が得られれば次のトピックに移る。
ファシリテーションのポイント:
- 抽象度の高い部分・プロダクトの根本に関わる部分に関するトピックを優先的に取り上げる。(通常、概念モデルに対する指摘に多い)
- 議論が長引いたり、その場で結論が出ないような内容になった場合は、一度議論を打ち切り、別途議論の場を設けるよう促す。
- ファシリテーターは時間内に取り上げたいトピックの数と残り時間から、トピック1つあたりにかけるおおよその時間を把握しておく。
4. 評価(5分)
- ファシリテーターが参加者の間で合意を取り、先述の4段階で評価をつける。
- 評価が完了したら、この回の情報設計レビューは終了となる。